[びいだまよほう。あとがき]
最初の構想段階ではヤコウはいませんでした。
はい、改めましておはようございますこんにちはこんばんは。
一度書き上げてから半年以上経ちましたが、2013年秋の文合わせに出したびいだまもよう。を投稿し直しました。ストーリーの流れは変わっていませんが、企画に比べ大幅に加筆修正しております。
今回のびいだまについては自分が全力で楽しんだ作品でした。短編は今まで何個も出してきましたが、ここまで自分もわくわくしながら書いたものは無かったような気がします。
語りたいことはたくさんあるのですが箇条書きでおおよそまとめながら。
・キャラクター
読んでいただければよく分かっていただけたと思いますがハボは色んな行動面において贔屓しまくりです。
多分 ポケモンの中で 一番 好きなんです ハスボーが。それはもう遡ればルビサファの発売前情報をリアルタイムでコロコロコミックでわくわくしながらキャッチしてた時代、初めてハスボー情報が解禁されたときから……。リメイクが出ますね。既にXYで拝んではいるものの、楽しみですね。ふふふ。
弱冠脱線しましたが、ハスボーがとったら良いと思う行動を詰め込んでるんですね。冒頭のひっくり返ってじたばた動いているシーン、喜んで跳び上がるところはポケパルレ出身で、大袈裟にショックを受けているところとか、マイペースなところとか、でもやるときにはやる的な感じで水鉄砲! とか。いい台詞もつぎ込んでいますし。
最後の締めにある、ハスボーの視界がとても狭いっていうのは私の妄想の賜物でして。ころっとした青い体に、あんなに大きな蓮に嘴を持っていたら、きっとうまく見えないんだろうなあと。びいだまを作る全ての原点はここですね。実際文合わせに出したものは少しインパクトに欠けてしまったなあと反省しているのですが、ここから始まりました。そして、きっとその視界に全てが映る小さなポケモンとハスボーのカップリングって……いいんじゃない……!? と広がっていったんですね。そう、最初は恋愛ものにするつもりだったんです。そこから10cm級の小さなポケモンってなんだろうと思って頭に浮かんできたのが、フラベベとバチュルでした。BWではハスボーが野生としては出てこないのとハスボー×バチュルよりハスボー×フラベベの方が見た目としてもいいなあと思って、フラベベを選んで、そして、前々から使ってみたいと思っていたラムネ、そのビー玉という要素を無理矢理くっつけたのでした。ビー玉については後で少し。
ハスボーはすごくマイペースなのんびりやっていういかにもハスボーな性格でいきたいと思っていたので(そういえば分かる人には分かっていただける気がするのですが、どう〇つの森ののんびり系キャラクターみたいだなって思いながら書いてました)、それに対するヒロインとしてツンデレちゃんにしたのでした。でも私ここまでのんびりとしたキャラもこてこてのツンデレなキャラも書いたことなかった気もします。いかにも\キャラ/という感じが、新鮮でした(伝わらない)。頑張り屋なキャラクターは山ほど書いてきたんですけど。フラベベも可愛らしいイメージを払拭するようなこの性格付けがけっこういいかも? と思ってツンデレを押していきました。ただやっぱり慣れないことで四苦八苦したりしたので、それが裏目に出て伝わってしまったというのも感想で見受けられました。だから修正版ではすこーし、やわらかめにしてあります(つもり)。
この構想段階で、ヤコウはいませんでした。(二度目)
改まってみなくても、この物語全体の流れとしてはハボをラムネが助けて川へ行ってビー玉探しを手伝うっていう地味極まりない内容なんですよね。ハボとラムネの様子を描いているだけだと、うまく話を盛り上げられなかった。これは単に私の力不足っていうのもあるんですが。良い方向に膨らんでいかなかった。背景が変化するわけでもない。ずっと舞台は川なわけですし。
どうしよう、となって、ヤコウが出てきたんですね。
ラムネを襲う鳥ポケモンを投入しよう、と。
XYで鳥ポケモンといえば?
ヒノヤコマ即決でした。ヒノヤコマはXY新ポケモンの中で五本指に入る超絶好みデザインですヒノヤコマ大好きです。
で、話のインパクトの無さを補うためにも、ヤコウもビー玉探しに参入することになるのでした。
だから最終的に23000字近くまで行くという結果になったんですね……これヤコウがいないまま突き進んでたら多分10000字、多くても15000字くらいには収まってたと思いますね……ヤコウで膨らましすぎである。これがヤコウの力……。書き始めた頃は気楽に読んでいただけるようにそれこそ10000くらいで収めるつもりだったんですほんとです(白目)膨らまし癖がついています。私企画においては数千字ダイエットの常連なので……少なくとも三回連続そうなんですね……「毒を前に、進め」「零」そして「びいだまよほう。」……果たして次はどうなるのでしょう(遠目)
話を戻して、そういうわけでヤコウはかっこつけたがりの理想主義者、そして少し口が悪いポケモン、という図は何故か分からないけどすらりと出てきました。そしたらもう、この三匹ほんっと凸凹で。マイペースにマイペースが重なって。ただ、ラムネに関しては、他の二匹に比べて現代の人間らしさを意識しています。住んでいる場所が彼女は森や川といった自然の中ではなく、公園の近くという比較的人間が常に傍にいる状況なので、そういう影響を自然と受けていてもおかしくないかなあと。序盤で川に向かう時、ハボが蓮に乗ることを勧めた際に汚れるのを嫌がった点や、「うざい」という言葉遣いなどがそれに当てはまっています。まあ、うざいという言葉を使うかどうかはけっこう迷いに迷ったんですが……。このあたりは物語中で表記しようかとも思いつつ、流れを止めずに組み込めそうになく。ここでそっと言っておきます。
あと、ヤコウを投下して書き進めるうちに、恋愛ものの路線は変更しました。ヤコウが蚊帳の外になるのが可哀そうっていうのと、私の中でヤコウ×ラムネもいいな……とか思い始めたのであああこれはだめだ三角関係はこの話でやってはならない字も増える!となって恋愛要素は薄めようとなったのでした。ゴール地点まで走って振り返ってみれば、三人の友情ものになってました。こうするとヤコウの影響力が半端じゃない。そしてなぜか、ストーリー的にも私の構想的にも途中参加なくせにヤコウは絶対にいなくちゃならない存在だったとなっているのだから本当に不思議なものです。でも友情路線にしたのは後悔してないし、そうしたらハボが弟、ラムネがお姉さん、ヤコウが一応お兄さんみたいな家族的なイメージが形成されていって、物語もそれはそれで作りやすくなりました。この家族イメージは最後のあたりで会話してたんですが文合せでは削ってます。
そんなこんなで出来上がった三匹でした。三匹、というのが会話主体で進んでいくような物語においては私の中でやりやすいのかもしれません。と、過去作を思い返しながら。 私がずーーーーっと苦手としてるのが会話なんですけど、キャラが濃いので意外とさくさくとできました……。会話って、キャラの個性が出てるほどやりやすいんでしょうね。
・びいだま
2013年秋企画のテーマは輪と石で、私の予想として石の方が少なくなるだろうと思って石を選択しました。かわらずの石や進化の石なんかは鉄板なので、それ以外の、何か違うもの。
当時、ちょうど、なんとなくですがラムネを描写したいと考えていました。あの透明感や、音、爽やかな雰囲気、ビー玉。それを文章で表現したい、と。それとくっつけるような形で、ビー玉を主体にすることで作っていきました。ビー玉はガラスであるから決して石ではないのですが、ポケモンの視点に絞った物語ならばビー玉を石とすることもアリかなと。彼等は、ガラスの玉を表現するのに石という言葉を使うかもしれない。ガラスは純粋な自然の中には存在しないものだから。まあ、ギリギリラインであることは自覚しつつ。
ラムネの回想シーンのみ「びいだま」ではなく「ビー玉」になっています(実は企画分ではミスでこれ以外のところでもビー玉になっちゃってる部分とかあるんですが、それはまあ置いておいて。ちゃんと推敲しましょう)。視点としてはラムネ寄りなのでびいだま表記でもいいかなとか思ったのですが、それまでの展開で無かった異質さや、全体通して唯一人間との関わりが濃厚である部分であることを雰囲気として出したかったなどなどの理由でそのようになりました。この回想シーンはお気に入りの一つです。ラムネの拙さを出しつつ、ラムネの行動、視点の動きを、淡白ながらうまく表現できたかなーカナー。
・びいだま発見、そして収束へ
物語の一番山場の部分だったわけですが、力を入れて書いた分良い感じになった気がします。この作品は三人称であり、時折ハボの感情だったりラムネの感情だったりを一人称のように織り交ぜながら書いているわけですが、このあたりはがっつりとラムネでした。ラムネと女の子の話。女の子へ対するラムネの強い思い。切実な願い。悔しさ。そういったものは、加筆版ではより一層深めに描写してあります。
意を決して川に飛び込み、びいだまを取り出し、ヤコウが救い出すまでの出来事は、多分実際の時間にしてみれば一分あるかないか、といったほんの僅かなひとときです。けれどラムネにとっては決死の行為であり、生きるか死ぬかの瀬戸際でした。彼女が命を懸けるこの場面は妥協したくなかったし、読者様方にひしひしとその勢いが伝わっていくようにしたかった。だから企画に出すために数千字ダイエットをした際も、他の場面はいかに大小削ろうとこの部分は殆ど削らずに押し通しました。ここだけは決して譲りたくなかったのでした。……一字でも減らしたい状況下で、何度削りたくなったことか……wそうした苦労もあり思い出深い場面です。ラムネの奮闘に字数をかけすぎて、その後さらっとヤコウが彼女を救う部分は淡白すぎかな!?とか思ったりもしましたが、あっさりと、しかし的確に彼女を救う彼の活躍はほんの一瞬のことであり、必殺仕事人なこの行動は流れるようにやる方が象徴的で良いかなあ、と。ヤコウの狩りの実力が吹聴ではなく本物であったこと、しかしヤコウのポリシーである美しさとは掛け離れた豪快なスプラッシュを打ったこと――ヤコウが自分の理想を無視してただラムネを助けるためだけに反射的に動いた本能的なものだったことを、そっとこのほんの僅かな文章に籠めていたのでした。かっこいいよヤコウ!
・別れ際の言葉
前述にある通り、ハボは視界が狭い中でラムネの体ははっきりと見える、そのことにとても感動を覚えた、それがこの物語を書く原動力の核だったわけですが、そのことをラムネに告白する場面です。別れ際にどうしても言っておきたかったこと。ラムネ自身は否定し続けてきた自分の小ささを、ハボが肯定する場面。企画提出版ではその後すぐに三匹の最後の言葉に移っていきましたが、加筆版ではラムネのハボの言葉に対する言葉も書いています。抱き続けていたコンプレックスと向き合えたこと。小さいことは唯一の武器にもなり得ること。少しだけ自分に自信が持てたこと。そして盛り上がりの部分で勇ましさが目立ったハボも、またマイペースでのんびりとした調子の言葉を繰り出してくることで、また序盤のハボとラムネのボケとツッコミが戻ってきたこと。このあたりも削りたくなかったのですが……!!前述のラムネの必死場面と天秤にかけたときに私はこっちを削ったのでした。涙目。こうして完成版を出せて良かった……。ヤコウの影が薄めなのはちょっと彼に対して後ろめたいですが……勿論、たとえ途中参加とはいえヤコウも私の中ではかけがえのない物語の一員です。
・全体を通して
そういえばこの作品タイトルをどうするかかな悩んだんですが、結果決まった「びいだまよほう。」。可愛らしい物語なのでそれに見合うものにしたいと思って音感の可愛さが気に入り(ここが重要)、全てひらがなにして句点をつけた方が特に意味は無いけど可愛い気がする……というわけでこうなりました。ただの単語なのにタイトルで句点がついているのってちょっと珍しいかな。意味は無いです(二度目)じゃあ付けなくても……とか言われるとそれはちょっと寂しいです……。そういえばそもそも自作ではタイトルで句点を使ったことない気がします。
この物語を書いて修正して企画に出して一番心配だったのは、やはり二万字ギリギリの長さ故、途中で飽きられてしまう点でした。故に、テンポ良く進めていくこと、僅かな展開の中でもキャラの個性を分かりやすく出していくこと、どこか漫画的な雰囲気(自分目線ですが)の中でもアクセントを入れるように地の文を濃く描くことなどなど、勢い任せな部分もけっこうあった中濃厚にできたんじゃないかなーと思います。字数とはまた別の意味で。捻くれてない素直で単純な物語であることもあり、結果として長さを感じなかった、今回の企画において最長であったと思えなかった、等々の御言葉を頂き心から喜んでいました。そして安堵……。中にはこの三匹の未来の物語を読みたいと言ってくださる方もおられ、恐縮でした。けれど、続編を書く予定は今のところはありません。いや、それはとても面白そうだなあと思うんですが。ハボもラムネもヤコウも、私の中ではまた今までとは違ったとても大切なキャラクターだから。ただ、このびいだま。にいろんなものを既に籠めすぎて、この物語を殺さないようにしてうまく続きの話を書けるかどうか、そこまで自信が無いです。ええ、相当びいだまよほう。は気に入っています。どうせ書くならもっと面白いものを書きたいな〜とか思ってしまうので。(とかいいながら、物語の展開が思いついたら書いているかもしれません)
何度でも言いますが、この物語を書くのはとても楽しかった。秋企画の更に前の企画では重いものを書いたし、ここ最近短編にしろ中編や長編にしろシリアスなものを書いてばかりいたので、こういった軽快なものを書くのは新鮮さすら感じたりして面白がりながら書いていました。自分事ですがやっぱり小説を書くのって面白いなあというのを再認識させられました。びいだまよほう。は擬音語を多めにしたり、会話テンポもコミカルなところあったり、今まで書いてきたものとは違うタッチでやっていて、その中でも、漫画や映像じゃなくて小説だからこそできる表現ができたカナー……うーん、もっといろんなものを書いていきたい。三匹、しかも盛り上がり部分で過去話、というのは過去作で思いっきり被ってる展開でもあるので、やりやすい形ではあるのですがまた別の形の面白いものを作っていきたいなあと。
あと、けっこう文章面のミスとか他のより良い表現など指摘をいただいたので、もっとしっかり推敲は行っていかねば……!と。油断大敵ですね〜完成しちゃうと大半そこで満足しちゃう悪い癖です。
あと、今回の作品で出したかったけどうまく繋げられず出せなかったハスボーのネタとして、ハスボーは長い時間水を飲まないと頭の蓮が枯れてしまうという図鑑の説明があります。枯れるって植物としてはイコール死であり、ハスボーにとってはかなり危険な状態ではないだろうかと思い、面白いなあと思って少しそのことを入れようかと思いましたが、断念。生死に直接関わることを入れるとちょいとこの物語には重すぎて不自然かなーと。基本的には気軽な気持ちで読んでもらいたいというスタンスで書いた作品だったので、余計に。ラムネのびいだま取る場面は間違いなく生死に関わる場面でしたが……^^^いつかこのネタを練ってまたハスボーの出てくる小説を書きたいです。
では自己満足に長々と書かせていただきましたが、〆とさせていただきます。
ここまで読んでくださった方に、精一杯の感謝を。
ありがとうございました。