Page 70 : 相見へ





 圭と別行動をとっているクロとラーナーは南西区をしばらく歩き回り、炎天下において数時間に渡り情報収集に努めていた。クロ自身も歩いたことのない土地であるが故に余計に時間と体力を費やしたが、休憩がてらやがてある駅に併設された喫茶店に入ることとなった。
 人が疎らに座り、談笑に花を咲かせたり静かに読書をしたりパソコンと向き合っていたりと各々時間を潰している中で、彼等は軽く店内を見回す。幸い一番端の二人掛けの席が空いているのが視界に入った。昼御飯を殆ど食べずに時間を過ごしていた彼等は、太陽がゆっくりと西に傾いている最中の午後四時頃、サンドイッチと飲料水の入ったコップを机に置いた。向き合う形式で座ると、安堵で大きな息を吐き、まずはコップを手にとる。直後に一気に飲み込んでいくが、二人ともそのまま飲み干してしまうのではないかという勢いである。喉の渇きが限界であったことが行動によく現れている。冷房がよくきいた店内は、彼等にとっては天国のようだった。
 気が済むまで胃に流し込むと、自然と小さな溜息が零れた。
 水だけである程度胃が満たされて気分が落ち着いたところで、クロが早速話を切り出す。
「じゃあ、まず」
「うん」
「簡潔に言えば、真弥さんの居場所は十中八九、分かった」
 直後、ラーナーの思考は唐突に静止する。
 確かにその言葉は解りやすく要点のみに絞った内容である。しかし、作業が難航していることを覚悟していた、というよりはそうなっているのが当然だと無意識に思い込んでいたラーナーは一瞬その意を理解できなかった。この数時間ラーナーはクロの情報収集に付き添っていたが、遠巻きに見つめていた先のクロが話を終えてその場を離れる時、あるいは外で待っている時に建物から彼が出てきた時、クロの表情から手応えを掴んだといえるようなメッセージはとれなかった。どうであったかを尋ねる前にさくさくと人混みに入っていったために内容を聞く暇も無かったが、有力なものを得られなかった故の反応だと勝手に思い込んでいた。そんな彼女にとってクロの自信ありげな言葉は喜ばしいが想定外だった。
「早い、ね……!」目を点にして、ようやくラーナーは声をあげた。「苦戦してそうだったから、意外」
「苦戦というか……あの人、たくさん偽名使ってる上居住地も頻繁に移してるらしいしまどろっこしかったんだよ」
「あ……はは」
 苦々しげに表情を歪めるクロを見て、ラーナーは彼の気苦労を察した。
 クロは上着のポケットに乱雑にしまっていたメモ用紙を数枚テーブルの上に出す。所狭しとクロの字が走り書きで残されている。いくつもの皺が寄ったそのうちの一枚に書かれた乱雑な単語の群を指で突きながら彼は読み上げた。
「アシル・バルゲリー、レジス・スーラ、エルヴェ、ロック、パトリック、マリー……日下部文昭、錦戸光樹、杉村純、優希、春奈……以下略。これ全部、同一人物、真弥さんの偽名だと思われる。意味不明」
「……多いね」
「偽名を使う気持ちは解る、けどマリーとか春菜とか女の名前だろ。どう考えても遊んでる。どう考えても真弥さんらしい」
「うーんと、ますます何者って感じがしてきた」
「俺もまったく理解できない」
「そもそも真弥さんって男なんだね」
「……ああ、うん、そう。さすがに女だなんて誤魔化せるはずないのに、ほんと何やってんだか」
 呆れ果てながら貶し、背もたれに体重を委ねる様子を見ていると、“クロの人生の先輩”という圭の言葉がまるで嘘のようにラーナーには思われた。尊敬どころか、呆れ果ててものも言えないといった様子である。むしろ、軽蔑している匂いすら感じられた。まだ会ってないうちから決めつけるのも良くないが、得体の知れない人物像にラーナーの困惑は深まるばかりだった。会えば分かるというクロの言葉は案外に的を外れていない。
「でもなんでそのたくさんの名前が同一人物だって分かるの?」
 素朴な疑問を投げかけると、クロはすぐに返答する。
「実際同一だっていうのがばれてるものもあるし、あと外見や行動パターンが似通っている。あの人、名前はやたらあるけど多分本気で隠れるつもりが無い。それと、同居人がいるっていうのも分かった。少なくともここ一年くらいはずっと共に行動しているらしい。それが一致してる」
「その同居人っていうのも、クロ達の知り合い?」
「いや、こっちに関してはほとんど何も分からなかった。けど、多分知らない奴だ」
「根拠は?」
「真弥さんと二人で一年も居られる奴なんて俺の知り合いには居ない」
「……はは」
 真剣に真顔で言うものだから、ラーナーには返す言葉も浮かんでこない。
 でも、とクロは呟く。
「だからこそ、この人がどんな人なのかっていうのは、ちょっと気になる。何があって、真弥さんと行動しているのか……」
「……気になるんだね〜好かれてたみたいだし」
「……その話題をもう一度掘り返してみろ、容赦しない」
「クロのそれは冗談に聞こえないから怖いよ」
「冗談じゃないからな」
 一瞬でクロから尖った空気が発され、鋭い目に捉えられたラーナーはさすがに萎縮する。私のは冗談だよ、と笑って諌めようとするが、しばらくクロの威嚇行為は収まらず、きんと冷えた緊張が走る。圭が軽く口に出した故に勘違いしていたが、ラーナーが考えていた以上にクロにとっては地雷だったようだ。居たたまれなくなったラーナーは、彼から目を逸らしてコップに入った水を飲む。残量の少ないガラスの器の中で、氷の転がる音がした。
「とにかく」
 クロの口から出てきた言葉は苛立ちが残ったトーンだった。
「行けば分かることだ。今の居場所は把握してる。圭と合流したら、早速向かおう」
「オーケー。でも……すごいね、ついさっきセントラルに入ったばかりなのに」
「ああ、聞き回って分かった。良くも悪くもほんと、ここは情報過多だ。どうして真弥さんがこんなふざけた真似しててものうのうと生きてるのか、益々謎。俺達も気を付けないと」
 気を引き締めるように促す言葉に、ラーナーはほんの少しだけ瞼を下ろした。
「そう……だね」
 ラーナーの口調が妙に濁っているのをクロは聞き逃さず、目を細めた。
「奴等が来るのが、怖いか?」
 率直に彼は尋ねてきたが、ラーナーは曖昧に俯く。
「怖いは怖いけど……ううん、なんでもない」
「どうした、はっきりしろ」
「なんでもないってば、ほんとに」
 思わず突き放すように言うと、クロは不満そうに眉を顰めながら、それ以上の干渉を止める。
 ラーナーが引っかかったのは黒の団のことではなかった。笹波零に関する情報は見つかったかどうか、それも彼女が大きく気にしていることである。だが、実際に口に出して尋ねる勇気も度胸もラーナーは持ち合わせていなかった。聞かずとも、きっとその質問に対する答えは望ましいものじゃない。もし手に入ったなら、いくら感情が表に出てこないクロでもその表情はもっと大きく変化するはずなのだ。何しろ、三年間探し続けて未だ情報の欠片も得られていない人物のことだ。しかし彼は笹波零のさの字も口にしようとしない。それが全てを物語っているように彼女には思われた。
 それにしても今日はクロの舌がよく回る。彼自身が考えていた以上に収穫が多く、静かながら胸の中では高揚しているのだろう。いいことだ。弱々しく俯く姿よりも、前向きに進もうとしている姿の方が見ていて安心するし、喜ばしい。だからやはり、笹波零のことは話題に出すべきじゃない。
「それ、食べれば?」
 テーブルの中心に置かれた三角切りのサンドイッチを指差しながらクロは言う。
 前触れなく促されたラーナーは慌てて一つ掴み取り頬張ると、クロも続くように食べ始めた。一番安かったツナサンドは、簡素ながら味付けがしっかりとされていて一気に口内に味が膨らむ。空腹で苦しくなっていたこともあり余計に美味しく感じられたのか、ラーナーの口元が自然と綻んだ。
「……いっつも、なんでも美味しそうに食べるよな」
 ふと口をついて出てきた言葉にラーナーはきょとんと思考が一時停止する。
「うーん、今はお腹空いてたし、まあ食べるのは好きだし。でもそう言うクロもさ、なんでも食べるじゃん。私の場合、ピーマンとか駄目だけど……クロ、好き嫌いとかあったっけ?」
「ある物は全部食べる」
 サンドイッチを口に含みながらの即答に、ラーナーは苦笑を浮かべた。まるで大食漢であるかのような発言のようだったが、実際のところ彼の食はかなり細めだ。年齢不詳だが、見た目からして食べ盛りの時期であるはずにも関わらず、だ。最近はラーナーが同行しているため食事に関してはリズムはほぼ守っているが、数日食べなくても大丈夫だと発言した時にはラーナーは目を丸くしたものだった。そして弟を叱る姉さながら、思わず怒声を浴びせたこともよく覚えている。その隣で、ポニータが同意するように数度頷いていたことも、叱咤に対して不満ではなく驚きに染まっていたクロの顔も、今ではむしろ懐かしい。
 が、彼の発言した通り、誰かに出された食事はたとえ彼の胃の容量を超えても基本的に全て食べる。嫌な顔一つせず――喜ぶ顔もほぼしないのだが――多少時間がかかっても残すことはしない。
「偉いね」
 故に、ラーナーからは自然と彼へ賞賛の言葉が送られていた。
「別に」
 対して、照れることも喜ぶこともせず、無表情で淡々と返すだけである。彼にとっては当然であり普通のことだった。
 そこで一度会話は途切れ、黙々と食事を進める時間が続いた。店内に流れる明るい雰囲気のジャズ音楽と周囲の談笑の声が彼等を包み込む。程よく騒がしいためか、会話があまり無くとも妙な気まずさは感じられなかった。「ポニータ達にも後で食べさせてやらないと」時々クロからも独り言のような言葉が零れる。「そうだね、皆もお腹空いてるよ」自然とラーナーは相槌を打つ。「きっと怒ってるだろうな」小さな溜息に続いて、水を飲み込む音。「ちょっと申し訳なくなる?」「全然」「いやちょっとは思ってるでしょ」「いいや」頑なに否定してからラーナーは勘繰るようにクロの顔を見つめると、淀んだ空気から逃げるように彼は視線を逸らした。「……少しだけ」僅かな呟き。ラーナーは白い歯をちらと見せて得意気に笑った。流暢な会話は彼等が心を休めることができている証拠である。
 軽食故に、止まることなく数分後には白い皿の上に乗っていた物は綺麗さっぱり無くなっていた。腹十分まではいかなくとも満足感は得られた彼等は静かな安堵の息をつく。
 店内にかけられた時計にクロはちらと視線をやる。四時三十分を少し過ぎたところだった。集合は夕方辺りに南西区の鉄橋の元で、という大雑把な約束をしてしまったためにいつ頃向かうべきか判断が難しいが、まだ早いか。クロと圭はポケナビで繋がっているためとろうと思えば連絡は可能だが、もしも今病院で見舞っている途中かもしれないと想像すると、緊急時でもないのに電話をするのはクロでも引け目を感じるのだった。
 外は相変わらず熱気で満ちている。無闇に出るのも気が進まない。店内が混んでいないこともあり、自然ともう少し休憩していく流れになる。
「で、真弥さんっていう人はどこに今は住んでるの? 近い?」
 切り出したのはラーナーの方だった。
「南区だから、今いる南西区の隣の地域だ。歩いていけなくもないけど、意外とセントラルは広いから、電車かバスを使った方がいいかもしれない」
「ふうん、そっか……でも、歩いていけるなら歩いていこうよ」
 クロは視線をふと上げた。その先にいるラーナーは平然な顔をしていた。思ってもいなかった彼女のやる気に感心する。何も無い道を進むのとはまた違う、人にまみれた道を歩く大変さは今日一日で充分知ったはずだ。ラーナーはクロ達に比べ体力は欠けている。ここ数日首都を目指して動き続け、まともに宿もとれない日々が続いている。疲労は蓄積され続けているはずだ。それでもラーナーは自ら提案した。クロが考えている以上に疲れていないのか、ただの強がりかは、彼の計れぬ域だったが。
「でも、無理はしない方がいい。一応地図はあるけど、俺達には土地勘も無い。下手に迷っても危ないからやっぱり乗り物使った方がいいと思う。圧倒的に早いし」
 冷静に返されたラーナーは面食らったが、彼の言葉には言い知れない説得力があったし否定する理由も無かった。
「そ、そう……だね。今日もけっこう迷ったし」
「一言余計だ」
 クロの苦々しい声音に、ラーナーのささやかな笑い声が乗りかかる。
 ふうとクロは息をつき、机に出したままだったメモ用紙を上着のポケットに戻した。
「時間はまだある。やることはたくさんあるし、もう少し回ってみようと思う」
「分かった」
 少しでも有意なものが得られる可能性があるなら、ついていくだけ。クロの一番求めるものが手に入ることを、ラーナーも強く望んでいた。


 *


 鞄にたっぷりと出来たての折り紙作品をしまって、彼は飛び立った。建物の隙間を抜けた行きと違い、病院前は当然ながら周囲は広々と開放的である。エアームドに跨って風に煽られる中で、彼は後ろ髪を引かれるように僅かに振り返った。整然と壁に並べられた窓を外から見ても、どれがユアの住んでいる九一六号室かは見当がつかない。分かってはいたことだが、最後にもう一目顔を見ておきたいという淡い思いは呆気なく消されてしまい、感情に従ってつい肩を落としてしまう。
 エアームドが主の名残惜しい気持ちを察してか緩やかにスピードを落とした。が、圭はその挙動に気付いて慌てて正面、エアームドの後ろ顔に視線を戻した。
「と、エアームド、気にしないで行ってくれ。また会いに来るからさ、いいんだ」
 声をかけられたエアームドは横目で圭の表情を窺ってから、再び加速の体勢に入り上昇していく。押し返さんとするような強い向かい風が吹いてきても、頑丈で屈強な鋼の鎧を纏ったエアームドにはびくともしない。ただ、注意が散漫している圭の方は振り落とされてしまいそうだった。エアームドの体にしっかりと手をかけ、未練がましい気持ちを振り切るように真正面をしかと見据える。薄い雲を携えた西日がまだ遠いビル街の隙間へと落ちていこうとしていて、視界を焼くような眩さに目を細める。想定していたより時間が経ってしまっていた。それに気付かぬほど充実した時間を送っていた。
 病院受付で念入りに方角は確認した。このままほぼまっすぐ飛んでいればいずれ南西区上空に差し掛かるだろう。集合場所である鉄橋に近付いたら適当な場所を見つけ降りるつもりでいた。
 風にも慣れて速度も安定してきた頃、圭の心にようやく余裕ができる。
「ユア、思ってたより元気そうだったよ」
 圭は緩やかに口元を上げながら、エアームドに声をかけた。空気を裂いている音の中で、どれほど届いているかは分からなかったが、口内が渇くのも気にせず圭は続ける。
「そりゃあ重病であることには変わりないけど、ちょっと安心した。時々しんどそうだったけど、でも、なんかずっと笑っててさ。あいつ、すごいんだ。折り紙の折り方たくさん知ってて、一つ一つ丁寧に作っていくんだ。折り紙ってお前知ってるか? 物知りな看護師さんにいろいろ教えてもらったんだって。俺もちょっと教えてもらったけどさ、全然綺麗になんねえの。笑い飛ばすしかないくらいクッソ下手なんだよ。俺には向いてないね。ユアにも呆れられて、なんか宿題出された。練習してきなさいって。俺、学校とか行ったことないし宿題とかそういうの初めてで、なんか笑っちゃったよ」
 彼の鞄に何枚か詰め込まれた真っ新な正方形の紙。病室内では幾度ユアに不器用さを笑われたことか。再度会うときに驚かせられるように、練習しておかなければ。鶴の手順だけはしっかりと頭に叩きつけてある。あとは実戦あるのみ。
「次に会うのが楽しみだなあ」
 既に懐かしんでいるようだった。少しずつ向かう先のことに思考を移行していくと、クロの顔が脳裏を掠めた。
 きっとクロの目の前で折り紙などやれば怒られるだろう。見舞いは許してくれても、何を遊んでいるんだと非難を受けるのは目に見えている。リコリスを飛び出したのは黒の団と戦い勝つため。首都に来たのもそのための一環。クロとラーナーは情報収集をしているに違いない。自分のしていることはついででしかない。自分のしていることはただの現実逃避ではないか。冷酷に鞭打つように問いかけると、圭はそっと噤んだ。否定は出来ない。リコリスで味わった甘い微睡に帰ったようなユアとの時間は幸せだったが、固執していたらきっといつかどっちつかずの立場にまた苦しくなるだろう。リコリスを出る直前の葛藤の繰り返しだ。できるなら毎日会いに行きたいくらいだが、駄目だと強く自分に釘を刺す。最悪なのは、ユアと自分の繋がりを黒の団に察される事態。それだけは絶対に避けなければならない。本当はユアのことは忘れていた方がいい。それが、現実だ。
 明日はクロと共に真弥さんを探そう。静かに決意すると、無意識に俯かせていた視線を再度前に戻した。
 視界の端で、一匹の大きな鳥が居るのが見えた。それほど遠くない場所で、佇むように――。

 ――……。

 ……?

「エアームド、ちょっと止まってくれ!」
 彼ははっきりと聞こえるように叫んだ。直後、エアームドは前触れのない命令に一瞬戸惑いを覚えたが、翼をコントロールして一気に原則する。突然ブレーキがかかったような感覚に圭はバランスを崩しかける。前のめりになりながらもなんとか後ろ側に重心を保つことを心がけて滑り落ちることは回避できた。エアームドは翼を羽ばたかせながら圭の指示通りにその場に留まり、不審な視線を乗り手に向けた。その先に居る圭は、遠くに居る一点に目を凝らすことに全集中力を注いでいる。
 鳥じゃない。
 あれは人だ。
 ポケモンに頼らず、人が空に浮かんでいる。
 圭の様子を見てエアームドも左方向へと視界を広げると、その光景に珍しく声をあげた。まるで地面に立つように平然とその人は空に居る。常識を離れた異常な光景に圭の先程までの思考は跡形も無く吹き飛んでしまった。更に彼の場合、その人物に見覚えがあったために衝撃の色はエアームドとは異なっていた。
 相手は止まった圭に気が付いたように顔を圭達の方に向けると、驚愕に染まった圭とは対照的に淡々と何食わぬ穏やかな表情を浮かべていた。風に煽られている髪は夕日の光を反射して金色に光っている。遠目ながらも視力が良い圭にはその様子がはっきりと目に焼き付いた。やや記憶と違いはあるものの、過去と変わっていない顔つきに圭の抱いた予感は確信へと変わった。それでも未だ信じられないのだろう、彼の口から出てきた声は疑り深く震えていた。
「真弥さん……?」












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